そこに僕は居なかった

誰も気がつかないのは、誰も興味がないからだろう。
君が否定しても、それが事実。

今日、都営大江戸線が一時全線にて停電のため停車しました。
僕、使っているのが大江戸線です。
帝都住民とは言っても、これでどこに住んでいるかだいぶ絞れてしまいますね……。
絞れるついでに、環状線は割りとすぐに復旧したにも関わらず。そこから外れた路線は11時になるまで停車状態でした。
これで、さらに絞れてしまいますね。
知ってる人は、まあ知ってるのだけど。

朝、寝ぼけた頭を何とか起こして自宅を出たのが８時ちょうど前後くらい。
そう、大江戸線が停まった7時55分からは10分もたっていません。
ちょうど、僕が家を出る直前に停電は起こりました。
が、残念ながらリアルタイムに情報は動かなかったらしくてすでに家を出た後。残念。
家を出る前に判っていれば、もうちょいゆっくり朝ごはんでも食べたのに（駄目っ子動物め）

駅に着いたのは、およそ8時10分過ぎ。急げば16分とか17分の電車（そのあたり、実は意外とアバウトで日によって割りと時間がずれている気がする）に間に合うだろうと思いながら。某政党っぽいところの候補者志望が街頭でなにやら言っている……「言うだけなら子供でも出来る」と言うのは名言なのだろうか？
横目と言うか、頭の隅で思いながら駅に向かう。
人が多いのは相変わらず。
はて？

「ただいま大江戸線は全線で停電のため電車が止まっています」

……は？

　時計を見る。
　時刻は、午前8時15分前後。何故はっきり判らないかといえば、僕の時計は比較対象によるが１０～１５分くらい時差があるから。今使っている時計は親父殿が譲ってくれたチタン性で、たまにしか皮膚炎を起こさない（チタンで荒れるって言うのがそもそも問題だが）割と悪くない代物ではあるが、なぜか周囲の時計との時差に更なる時差があるのが不思議だ。

　それはともかく。

　状況を聞いてみると、どうやら駅員の人も少ない情報の中で可能な限り説明しようと努力しているのだろうと見受けられる。
　夜になってニュースでやっていたが、その頃は新江古田の駅からおよそ２００ｍの地点で電車が立ち往生と言う有様になってトンネル内部でどん詰まり状態だったらしい。
　そりゃ、ニュースも入らないよね……。

　さくっと状況を認識してから、とりあえず地上に出る。
　今日は帰りに会社に忘れてきたカーディガンを着て帰る予定だったので薄着だ。けれど、寝起きの動かない頭には寒いくらいがちょうど良い……周囲でげほげほ言ってる奴多いんですけどね。
　一番近いファミレスをのぞいてみると、就業者が大江戸線を使用しているのかたいていは開いているお店が閉まっている……頭の中で周囲のお店をチェックして、某お米の国生まれのファーストフードに入る。
　少しばかり珈琲のにおいとかで体がきついが（注：猫は珈琲のにおいが駄目です。味も駄目です）さくっと購入して一休み。
　まだ20分以上時間があるが、一度会社に電話を入れる。上席者が居ないから後でもう一度電話をするとして。
　暇つぶしにデジタル小説データを購読開始（注：猫は暇つぶしツールが大好きです）

　せっかくホットを購入したが、飲んでいるとどうしても冷めてくるのが寂しい。
　ちょっとかわいらしい女性と相席になったりしながら今度はゲームをして、時間になったのでもう一度会社にTEL。

僕：「おはようございます、猫ですが」
えらい人：「お待たせしました。Nですが」
僕：「今朝、地下鉄大江戸線が停電をしまして。まだ地元の駅ですが全線停まって居る状態なのでたくさん遅れます」
えらい人：「ああ、わかりました」

　あっさり。
　嘘ではないから気分はよろしい。
　これで「公明正大にサボれる」と思うと、さらに気分はよろしい。
　もっとも、最近はゲームの戦闘シーンで負けが込んでいるのが悲しいところだけど。
　我が家の路線と地図の配置図関係から、がんばれば（これには「もしかしたら」と言う予測が必要だったりするが）別の路線の駅には40分少々。ついでに40分前後で目的地に行くことは出来たかもしれない。
　つまり、正味30分以内の遅刻で済んだかもしれなかった（仮定法過去形）
　けど、僕はやらなかった。
　理由はいくつかあって、まずは人ごみ。
　こちらの路線が駄目な場合、分散する可能性はあるが振り替えでほかの駅に行く人は居るとしても、どうした所で路線そのものは多くはない。よって、集中して人が増える可能性がやたら高い。その証拠と言うわけではないが、振り替えチケットなる昔の乗車券っぽい厚紙はさくっと配布が終わったそうだ。
　振り替えチケットがなくても、一声駅員に声をかければ無料で電車に乗れるようになるには少し時間が必要だった。
　次の理由は、体力の温存。
　ここまでいつものペースで着てしまったので、正直言って体力を取り戻すにはある程度の時間が必要だ。
　主な理由は人ごみだけれど、そこにともなって貧血でも起こしたらしゃれにならない。体力と貧血に相互関係はないと思いたいのはやまやまだが、専門家ではないので無理はしないに越したことはない。
　まだ理由はあって、仕事の内容。
　ほかの人みたいに急ぐ必要もなく、11月に現在の契約が打ち切られる可能性が大な身の上では「やる気」を求める方がおかしい。それでも、まったくやることがないわけではないから、出来る事はするけど、逆を言えば出来る事以外はやる気がないと言い切る。何しろ、求めないものに与えるのも。その逆も、破綻を来たすだけだしね、所詮世の中そんなもん。
　ついでも、銀行で用事を済ませたかったし。
　けれど、残念ながら医者に行くのはやめた。それはやりすぎだろうと思ったからだし、逆に時間を食う可能性が高いのはいただけない。

　通常で使用している駅から、反対方向の駅に行くには我が家を通り過ぎるルートが最短なのかも知れない。
　少なくとも、僕はそう思っている。
　必然的に、携帯の充電が心許なかったのと。暖かいお茶を飲みたかったので、帰宅。
　状況は事が発覚次第すでに伝えてあったので、驚かれることはなかった。
　驚かすのは別に面白いからかまわないが……まあいいでしょう。

　帰宅したのには、もうひとつ理由があった。
　情報が欲しかったのだ。
　上空ではヘリコプターが飛び交っていると言うことは、少なくとも一度は報道されているという事だ。
　言っておくけど、テレビに映りたいとか売名行為とかはないからあしからず（注：意外と猫は目立つの嫌いです）どっちにしても、ヘリコさんから映す映像では大して見分けつかないしね。
　ところが、テロがあったわけでもなく。死傷者があったわけでもない、有名人が閉じ込められたとか言うわけでもないこの停電事件（事故？）は、驚くほど情報が流れない。
　速報すら流れず、ケーブルテレビでもテロップが出ないのはいつものの事として、こうなるとネットでの情報に頼らざるを得ないのが不信感ばりばりだ。
　なんだ、これは？

　ネットのニュース、地下鉄のwebサイト、掲示板の噂すらほとんど流れてない。
　おかしい。
　しかし、いつまでも自宅に居るわけにもいかない。
　致し方なく、歩いて反対の駅まで振り替え輸送を期待して行って見る。
　所で、猫の家から路線まで出ると駅員が常駐している側とは反対になるのでインターフォンで状況を説明して入場の許可を求める。
　が。
　最初は「振り替え輸送やってますよ」とか言っていたくせに「あ、やっぱり駄目です」とかあっさり言いやがる……事件なんだよ、事故なんだよ！　その手の情報は常にリアルタイムで確認するのが民間だろうが！
　てめぇっ！　末端のてめぇがそんなだから上層部がろくな事しねえんだろうがよ！
　とか思ったのは、自宅まで歩き始めて割りとすぐ。
　ふつふつと怒りがわいたが、とりあえず大人の対応で黙っておく。
　どうにも、帝都の交通関係の人って言うのは高飛車でよくない。関西に比べたらマシらしいと昔聞いたことがあるが……。
　どっちにしても、大江戸線は復旧したというので家まで戻り、自転車に乗ってまた駅まで出向く。
　すでに、周囲の店は明るく営業中…・・・うれしくない。

　その夜で報道された内容に関して言えば、言いたいことは少しだけ。

「（情報に対する）フットワーク重いのは、戒厳令みたいなものなんかな？」

　ってところ。
　そうそう、選挙の立候補者らしい人はいつの間にか居なくなっていたようです。
　こう言う時に点数を稼げば、案外票って集まるのにねー。
　人って、極限状態になると本性とか現れるよね……僕の場合、本性は「タイミングが悪い」って事は以前から知っているけどね。
　あー、疲れた。いろんな意味で。